元Nhk会長・島桂次氏の栄光と失脚|衛星事故と虚偽答弁の全真相
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島桂次氏を単なる「失脚した独裁者」として片付けることはできません。メディア経営者としての先見性は、当時としては突出していました。その象徴が、米国のCNNや英国のBBCに対抗して打ち出した「グローバルニュースネットワーク(GNN)構想」です。
世界各国の有力放送局と提携し、24時間体制で国際ニュースを全世界に配信するネットワークの構築を計画。同時に、ハイビジョン放送の実用化や衛星放送(BS)の多チャンネル化を強力に牽引しました。ネット環境が未発達だった1990年当時、国境を越えた情報網を日本の公共放送主導で築こうとした構想力は、現代のグローバル配信プラットフォームの台頭を予見していたとも評されています。
失脚後、文藝春秋などから出版された回顧録や自著『シマゲジ風雲録』において、島氏は当時の心境を赤裸々に告白しています。政界の怪物たちと渡り合った記者時代の裏面史を明かす一方、辞任劇については「自らの慢心と、古い組織の足の引っ張り合いに敗れた」という無念が滲み出ていました。
また、プライベートにおける島氏の家族関係については、政治取材とメディア抗争に明け暮れる日々の中で、私生活を犠牲にし続けた典型的な昭和の仕事人であったと伝えられています。後年は持病の療養生活を送り、2003年10月11日、心不全のため76歳で逝去。その波乱に満ちた生涯に幕を下ろしました。