なぜ途中下車できない?ウエスタンリバー鉄道の真相と恐竜の謎
なぜ途中下車できない?ウエスタンリバー鉄道の真相と恐竜の謎の具体的な内容に迫る! わかりやすい言葉でご紹介しています。
カリフォルニアのディズニーランドやフロリダのマジックキングダムに存在する蒸気機関車は、複数のテーマランドに駅舎(ステーション)が設置されており、ゲストが歩き疲れた際の移動インフラとしても大いに重宝されています。東京ディズニーランドの計画段階でも、当初はウエスタンランドやファンタジーランドに停車駅を設け、パーク内輸送を兼ねる構想が検討されていました。
その計画の前に立ちふさがったのが、当時の運輸省(現・国土交通省)が管轄していた旧「地方鉄道法」の厳格な規定です。当時の法律では、「二地点間を結んで旅客を輸送する鉄道」は公営・民営を問わず一般の鉄道事業とみなされる構造になっていました。もしウエスタンリバー鉄道に2つ以上の駅を設置して旅客輸送を行えば、法律上の「鉄道事業者」に該当してしまうリスクが生じたのです。
地方鉄道法の適用を受けると、次のような極めて重い法的制約が課されることになります。
- 独立した運賃認可と徴収義務:パーク入園料やパスポートとは別に、鉄道単体での認可運賃を設定して徴収しなければならない。
- 一般公衆への開放義務:法理上、パークに入園しない一般の外部客であっても、運賃さえ支払えば乗車を拒絶することが困難になる矛盾が生じる。
- 運行ダイヤの届出と固定化:テーマパークの混雑状況に応じた機動的な増便・減便が難しくなり、鉄道営業法に基づく厳格な運行管理が求められる。
入園パスポート1枚で自由自在に夢の世界を行き来するというディズニーパークの根幹思想において、園内の一角で別料金の切符売り場を構え、一般の鉄道と同様の法的手続きを踏むことは、運営上の致命的な摩擦を生み出しかねません。そこでオリエンタルランドと米ディズニーのイマジニアたちは、「駅をアドベンチャーランドの1カ所のみに絞り、出発地点へそのまま戻る環状運転の遊戯施設(建築基準法の工作物)」として設計変更を行いました。途中下車をあえて不可能にすることで、日本の鉄道法制をクリアしつつ、純粋なエンターテインメント体験として蒸気機関車を導入することに成功したのです。