心臓の位置は左胸ではない?胸のほぼ中央にある理由と痛みの正体

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「心臓は胸の中央から左へ傾いている」という人類共通の基本構造に対し、生まれつき鏡に映したように逆を向いている特異なケースが存在する。いわゆる心臓が右側にある右胸心の真相だ。

医療現場の統計によると、右胸心(Dextrocardia)の発現率は数千人から数万人に1人程度とされる。右胸心には大きく分けて2つのタイプがある。1つは心臓だけでなく、胃が右側に、肝臓が左側にあるなど、腹腔内の全臓器が左右反転している「完全内臓逆位」。もう1つは他の臓器は通常の配置でありながら心臓だけが右を向いている「孤立性右胸心」だ。

ある総合病院の放射線技師は、健診の現場で遭遇する驚きを次のように語っている。「毎年の健康診断で初めて胸部レントゲンを撮った20代の若者が、フィルムを見て技師の裏表のセットミスを疑う場面があります。ご本人はそれまで何一つ不自由なく激しいスポーツをこなしており、自分が右胸心であることを20年以上知らずに生きてきたケースも珍しくありません」。

完全内臓逆位を伴う右胸心の場合、臓器の機能そのものは正常に働くため、日常生活や寿命に特段の影響を与えないことが多い。しかし、医療上のリスクはゼロではない。盲腸(虫垂炎)の激痛が一般的な右下腹部ではなく左下腹部に現れたり、胆嚢炎の痛みが左肩に抜けたりと、一般的な疾患の初期症状が左右逆に出現するため、問診時の誤診を招きやすい。また、前述したAEDパッドの貼り付け位置も、右胸心と判明している場合は通常の左右逆(左鎖骨下と右側胸部)に貼る配慮が求められるなど、個別の医療情報管理が極めて重要となる。

山本 拓海

山本 拓海

ヘルス&ウェルネスアドバイザー

デジタルガジェットとスマート家電の検証記事を多数執筆。失敗しないモノ選びを提案します。

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