急増するスマホ急性内斜視の真実|二重に見える原因と最新の治し方
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画面を夢中でスクロールしている最中、あるいは動画を見終えて遠くを見たときに、視界にある標識や時計の文字が2つに分裂して見える。これが、急性後天共同性内斜視(AACE)に伴う物が二重に見える複視の症状です。本来、人間の眼球は左右6本ずつの外眼筋によってミリ単位で協調運動を行っています。近くを見るときは両目を内側に寄せる「輻輳(ふくそう)」が働き、遠くを見るときは外側へ戻す「開散(かいさん)」が機能します。
通常、読書や紙の勉強であれば、目線と文字の距離は30cm〜40cm程度保たれます。しかしスマートフォンの場合、無意識のうちに画面と目との距離が15cm〜20cmまで極端に縮まりがちです。至近距離を数時間にわたって凝視し続けると、目を内側に引っ張る筋肉である「内直筋」が過度の緊張状態に陥り、痙攣(けいれん)や拘縮を起こします。この緊張状態が慢性的になると、遠くを見ようとしても内直筋が弛緩せず、片方の黒目が内側に固定されたまま戻らなくなってしまうのです。
かつて後天性の内斜視といえば、脳腫瘍や脳梗塞などの頭蓋内疾患、あるいは重症筋無力症といった神経疾患の兆候として警戒されるものでした。しかし近年の症例では、脳MRIなどの精密検査を行っても器質的な脳疾患は見つからず、純粋に長時間のデジタルデバイス使用が引き金となって発症するケースが大半を占めています。
この事態に対し、日本弱視斜視学会の調査結果でも警鐘が鳴らされています。全国の眼科医を対象にした大規模調査では、若年層の急性内斜視患者において「1日4時間以上」のスマートフォンや携帯ゲーム機の連続使用が確認された例が多数報告されました。画面の小型化と高精細化、さらには中毒性の高いショート動画やゲームの普及によって、目の筋肉を休ませる隙間時間そのものが奪われている実態が浮き彫りになっています。