栄誉と名誉の違いとは?ビジネスや表彰で恥をかかない使い分け解説
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日本で最も広く知られている「栄誉」の用例といえば、「国民栄誉賞」です。内閣府の公式資料によると、この賞は1977年(昭和52年)8月、本塁打世界記録を樹立したプロ野球選手・王貞治氏の偉業を称えるために当時の福田赳夫内閣によって創設されました。創設の目的は「広く国民に敬愛され、社会に明るい希望を与えることに顕著な業績のあったものについて、その栄誉を讃えること」と明確に規定されています。
ここで疑問が生じます。なぜ「国民名誉賞」ではなかったのでしょうか。
行政文書や言葉の設計意図を精査すると、その背景には明確な理念が存在します。「名誉」という言葉には、前述の通り「社会的身分」や「特権的ステータス」の色合いが宿ります。たとえば地方自治法に基づく「名誉市民」や学校教育法に準拠する大学の「名誉教授」は、長年の功労に対して授与される「終身の身分・称号(ステータス)」です。
もし「国民名誉賞」としてしまうと、国家が国民に対して階級や身分上の優劣を付与するかのような封建的ニュアンスが生じるリスクがありました。日本国憲法第14条が「華族その他の貴族の制度は、これを認めない。栄誉、勲章その他の栄典の授与は、いかなる特権も伴はない」と規定している通り、憲法上の文言にも「栄誉」が採用されています。成し遂げた類まれなパフォーマンスや功績という「輝かしい行為」そのものを国を挙げて称賛するという文脈において、「栄誉」という語の選択は必然だったのです。