肩の痛みと引っ掛かりの元凶?肩甲上腕リズムが崩れる理由と改善策
肩の痛みと引っ掛かりの元凶?肩甲上腕リズムが崩れる理由と改善策に関する基本知識をわかりやすくまとめました。要点を確実におさえることができます。
肩に引っ掛かりや重だるさを覚えたとき、多くの人が反射的に行うのが「肩を大きく前後にぐるぐると回す」というストレッチ運動です。YouTubeやSNSでも「肩甲骨はがし」「1分で肩が軽くなる肩回しエクササイズ」といったコンテンツが数百万回再生され、広く浸透しています。しかし、運動器疾患の専門医や理学療法士は、この安易な自己流アプローチに対して強い警鐘を鳴らしています。
ネット上に溢れる「肩を回せば治る」という言説には、看過できない致命的な盲点が2点存在します。
第1に、インピンジメントが生じている状態で肩を回す行為は、骨と傷ついた腱をヤスリで削り合わせる自傷行為に等しいという点です。肩甲骨が上方回旋せず、上腕骨頭が上方変位した状態で腕を回すと、肩峰の下で棘上筋腱が何度も激しく擦れ合います。ゴリゴリと音が鳴るのを「老廃物が流れている証拠」と誤認する人がいますが、その実態は腱や関節唇が骨の突起を乗り越える摩擦音であり、腱板不全断裂から完全断裂へと悪化させる決定的な要因となります。
第2に、「五十肩は放っておけば自然に治る」という俗説の危険性です。確かに軽度の炎症であれば時間経過とともに急性期の激痛は落ち着く場合があります。しかし、それは痛みが引いただけに過ぎず、肩甲上腕リズムが崩れたまま関節包が縮み切った状態であれば、腕が水平までしか上がらないという後遺症(可動域制限の固定化)が残るケースが珍しくありません。「痛くないから治った」のではなく、「動かないから痛まなくなった」という不可逆な関節機能の低下に陥っているケースが後を絶ちません。