『かくかくしかじか』はどこまで実話?日高先生の正体と涙の結末
『かくかくしかじか』はどこまで実話?日高先生の正体と涙の結末について分かりやすく解説いたします。最新の情報をご覧ください。
物語の中盤から後半にかけて、読者の涙を誘うのが東村氏の「怠惰」と「嘘」、そしてそれに伴う「取り返しのつかない後悔」です。猛特訓の末に難関の金沢美術工芸大学(金沢美大)油画科に合格した東村氏でしたが、大学生活では絵画への情熱を見失い、遊興や恋愛に流されていきます。
日高先生は「明子は将来、宮崎に戻って自分と一緒に絵画教室を継ぐ」と信じ込み、金沢にまで電話をかけ続けました。しかし東村氏は、幼少期からの夢であった「少女漫画家」になる道を選びます。先生を失望させたくないという弱さから、漫画を描いていることを隠し、美大卒業後も地元・宮崎の繊維会社で働きながら二重生活を送ることになります。
やがて漫画家として連載を抱え上京した東村氏のもとに届いたのは、日高先生が肺がんに侵され、余命幾ばくもないという報せでした。先生が入院してからも、締め切りや仕事を言い訳にして頻繁に見舞いに行けなかったこと、病床の先生に対しても漫画家になった事実を堂々と誇れなかったこと。そして迎えた最期の別れ――。
「なぜもっと早く会いに行かなかったのか」「なぜ素直に謝り、感謝を伝えられなかったのか」。この胸を裂くような自責の念こそが、東村アキコ氏が本作を描かなければならなかった最大の動機であり、タイトルの『かくかくしかじか』に込められた「言葉では言い尽くせない先生への想い」の正体です。