点と線』空白の4分間の真相|完璧なアリバイが崩れた驚愕の理由
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本作の代名詞とも言えるのが、東京駅で仕掛けられた「空白の4分間」のトリックです。安田辰夫は事件当夜、料亭「小雪」の女給仲間である八重子たちに、「東京駅13番線ホームから、15番線に停車中の特急『あさかぜ』へ佐山とお時が連れ立って乗り込む姿」を確実に目撃させました。これにより、第三者の証言によって「二人が九州行きの列車に一緒に乗った」という決定的な心証が作られたのです。
しかし、当時の東京駅ホームは過密ダイヤであり、13番線から15番線の間には通常、他の列車が停車していて視界が遮られていました。安田が突いた盲点は、午後5時7分から11分までのわずか4分間だけ、14番線に列車が一切入線しない時間帯が存在したという事実です。安田はこの絶妙な隙間時間をあらかじめ時刻表から割り出し、女給たちを巧みに誘導して「二人が九州へ旅立つ瞬間」を見せつける演出を施しました。
さらに驚くべきは、目撃された佐山とお時はすでに安田の手中にあり、お時を伴って列車に乗った男は佐山本人ではなく「安田自身が仕立てた偽者」だった点です。そして安田自身は、事件当夜に北海道・札幌の温泉宿に滞在していたという絶対的なアリバイを主張しました。当時としては極めて先進的だった「航空機による長距離高速移動」を組み合わせることで、東京・九州・北海道という広大な三角地帯を行き来する不可能な移動を成し遂げていたのです。