男脳・女脳の噂は嘘?神経科学が暴く「脳の違い」の真相と科学的根拠

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巷で最も頻繁に引用される俗説の一つに、「女性は左右の脳をつなぐ脳梁(のうりょう)が太いため、直感と言語を瞬時に結びつけるマルチタスクが得意だが、男性は脳梁が細いためシングルタスクしかできない」という主張があります。しかし、この言説の出自を辿ると、驚くほど脆弱な根拠に突き当たります。 この説の発端は、1982年にサイエンス誌に掲載されたデラコステ・メッシーらによる研究論文でした。しかし、この研究で用いられたサンプル数は死後解剖された脳わずか14例(男性9例、女性5例)に過ぎませんでした。その後、1990年代後半から近年にかけて行われた数千人規模のメタアナリシスや高解像度MRIによる追試において、「身体や頭蓋骨の全体サイズの違いを補正すると、脳梁の形態や膨大部の断面積に有意な性差は認められない」という結論が確定しています。 さらに「女性はマルチタスク、男性はシングルタスク」という説も、認知科学的には誤謬を含んでいます。そもそも人間の脳構造は、複数の認知的作業を同時に実行する「並行処理」が不可能であり、高速で意識を切り替える「タスクスイッチング」を行っているに過ぎません。切り替え速度や正確性を測定した複数の行動実験において、性別による有意な成績差は検出されておらず、個人のワーキングメモリ容量や訓練経験による個体差が結果を決定づけています。

橋本 菜々子

橋本 菜々子

トレンドリサーチャー

グルメと旅を愛するフリーライター。全国各地の隠れた魅力を独自の視点から紹介します。

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