Mステ見逃し配信はなぜない?TverやTelasa非対応の真相と視聴法
Mステ見逃し配信はなぜない?TverやTelasa非対応の真相と視聴法について知っておくべき 事実を分かりやすく解説いたします。
民放各局が「見逃し配信再生数」を番組人気の最重要KPIとして掲げる時代に、なぜMステだけが頑なにネット配信へ踏み切れないのでしょうか。テレビ局関係者への取材および音楽ビジネスの構造分析から、3つの決定的な壁が浮かび上がってきます。
1. 「放送権」と「公衆送信権(インタラクティブ配信)」の決定的な法性格の差
テレビ地上波での生放送は、著作権法上の「放送」に分類されます。テレビ局は日本音楽著作権協会(JASRAC)やNexToneなどの著作権等管理事業者と包括許諾契約を結んでおり、放送における楽曲利用のハードルは極めて低く保たれています。一方、TVerなどの見逃し配信は「自動公衆送信(送信可能化)」にあたり、地上波放送とは全く別の許諾手続きとライセンス料が発生します。
2. 1番組あたり数十社にのぼる権利者との個別交渉コスト
1時間のMステには、通常5〜8組のアーティストが出演します。大型特番ともなれば30〜40組規模に膨らみます。それぞれの楽曲には作詞家・作曲家だけでなく、レコード会社が保有する「原盤権」、所属事務所が持つ「肖像権」、バックバンドやダンサーを含む「実演家の権利(著作隣接権)」が重層的に存在しています。これらすべての権利者から「配信での利用許諾」を放送後わずか数時間で完全にクリアすることは、実務上、天文学的な労力と予算を要します。
3. コストとリターンの構造的ミスマッチ
無料見逃し配信(TVerなど)の主な収益源はネット広告(AVOD)です。ドラマであれば1話あたり制作会社や主要キャスト数名との権利調整で済みますが、音楽番組は前述の通り権利者が膨大です。広告収入の想定額に対して権利処理費用が大幅に上回る「逆ざや」が発生するため、ビジネスモデルとして成立させることが極めて困難な構造になっています。