亡き王女のためのパヴァーヌ|ラヴェルが隠した衝撃の真意と名盤を徹底解説

亡き王女のためのパヴァーヌ|ラヴェルが隠した衝撃の真意と名盤を徹底解説の注目ポイントを丁寧に掘り下げてご紹介します。

本作の構造は、ト長調(G major)を基調とした端正なロンド形式風(ABACA)で構成されています。パヴァーヌとは本来、16〜17世紀のヨーロッパ宮廷で踊られた、行列を作るようなゆったりとした2拍子の舞曲です。ラヴェルはそこに、近代フランス音楽特有の教会旋法(ドリア旋法やエオリア旋法)や、7度・9度・11度の精緻な和声を重ね合わせました。

1899年のピアノ原曲発表から11年後となる1910年、ラヴェルは自らの手でこの曲をオーケストラ用に編曲(管弦楽版)しました。「オーケストレーションの魔術師」と呼ばれた彼の手腕はここでも遺憾なく発揮され、わずか2管編成の小規模なオーケストラでありながら、奇跡的な色彩美を現出させています。

なかでも世界中の音楽ファンを惹きつけてやまないのが、冒頭の主旋律を奏でるホルン・ソロです。ラヴェルはここで、あえてミュート(弱音器)を使わず、当時としても演奏技術が求められた高音域の弱音(ピアニッシモ)をホルンに要求しました。金管楽器でありながら木管のような柔らかさと、遠い過去を呼び覚ますような独特の哀愁を放つこのソロは、現在もオーケストラのホルン奏者にとって極めて重圧のかかる名場面として語り継がれています。

佐藤 大輔

佐藤 大輔

シニアコンテンツプロデューサー

最新のテクノロジーと生活デザインの融合をテーマに、国内外の最新トピックを発信しています。

Share this article
Twitter Facebook Pinterest