人に病気をうつすと罪になる?法的責任とわざと感染させる心理の真相
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他人に病気をうつす行為に対して、法律の刃が向けられるケースは実際に存在します。法解釈の根幹にあるのは、刑法第204条の傷害罪(15年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金)および刑法第209条の過失傷害罪(30万円以下の罰金または科料)です。 判例上、傷害罪における「傷害」とは、人の生理的機能を害する行為を指します。刃物で傷を負わせる物理的暴力だけでなく、病原菌やウイルスを感染させて発症させる行為も明確に傷害と定義されています。古くは腸チフス菌を他人に摂取させた事件で傷害罪が成立した最高裁判例が存在し、性感染症(HIV等)であることを隠して性交渉を行い感染させた事案でも有罪判決が下されています。 ポイントとなるのは「故意(感染させる意図や認容)」の有無です。自らが感染力を持つ疾患に罹患していると自覚しながら、他者を感染させる目的で唾液を付着させたり性交渉を持ったりした場合は、明白に病気をうつす罪として傷害罪が成立します。一方で、風邪気味だと自覚しながら出社し同僚にうつしてしまったような一般的なケースでは、過失傷害罪の構成要件に該当する可能性は理論上あるものの、後述する因果関係の証明が極めて困難であるため、警察が刑事事件として立件するハードルは非常に高いのが実態です。 また、危険性の高い感染症に関しては感染症法上の罰則も設けられています。感染症法(感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律)では、特定の一類・二類感染症等において、都道府県知事による入院勧告・措置に従わず逃げた場合や就業制限に違反した場合、過料や罰則が科される規定が整備されており、個人の身勝手な行動に対する公的制裁が法制化されています。