さくらんぼは桜の木になる?ソメイヨシノの実との違いと毒性を徹底検証
さくらんぼは桜の木になる?ソメイヨシノの実との違いと毒性を徹底検証についての疑問解決ガイドをお届けします。
春先にはあれほど無数の花を咲かせているにもかかわらず、初夏にソメイヨシノの木を見上げても、果実が枝いっぱいにぶら下がっている姿を見ることはまずありません。せいぜい数個から十数個のまばらな結実にとどまる理由は、植物生理学における「自家不和合性(じかふわごうせい)」という防衛メカニズムに起因します。
日本全国に植栽されているソメイヨシノは、江戸時代末期に一本の木から接ぎ木によって増やされた完全なクローン(同一遺伝子個体)です。サクラ属の植物は近親交配による遺伝的劣化を防ぐため、自分自身の花粉や遺伝的に同一な花粉が雌しべについても受精しない「自家不和合性」の遺伝子(S遺伝子型)を厳密に機能させています。
したがって、周囲に何百本のソメイヨシノが並んでいようと、互いの花粉では受精が成立せず、実は一切結ばれません。公園の木にポツポツと黒い実がついているケースは、近くに植えられたオオシマザクラ、ヤマザクラ、エドヒガンなどの別種の桜から、ミツバチなどの昆虫が異なる遺伝子を持つ花粉を偶然運んできた場合に限られます。
主要な桜の種類一覧を見渡しても、受精と結実の条件は極めてシビアです。
- ソメイヨシノ:クローン種のため単一環境では結実ゼロ。他品種の飛来花粉でのみ極小結実。
- ヤマザクラ(山桜):日本固有の野生種。個体ごとに遺伝子が異なる実生木のため、比較的実がつきやすい。
- オオシマザクラ(大島桜):伊豆諸島原産。結実力が高く、黒紫色の実を比較的多く実らせる。
- セイヨウミザクラ:食用品種。受粉樹として開花期の一致する異なる2品種以上の混植が必須。