吉高由里子の若い頃|原宿スカウトから事故の真相と現在までの軌跡

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映画界の若きホープとして順風満帆に駆け上がるかに見えた吉高由里子ですが、その直後にキャリアのみならず人生そのものを揺るがす最大の悲劇が襲います。2007年秋、金原ひとみ原作の芥川賞受賞作を世界的演出家・蜷川幸雄が映画化する『蛇にピアス』のヒロイン・ルイ役のオーディションに合格した直後のことでした。

乗車していた車がトラックと激しく衝突し、吉高は顎の骨を粉砕骨折するなどの瀕死の重傷を負ったのです。意識不明の重体となり、集中治療室(ICU)に約5日間にわたって収容され、一般病棟を含め約1か月半におよぶ絶対安静の入院生活を余儀なくされました。顎を固定されたため固形物は一切食べられず、流動食と点滴で命をつなぐ日々。顔面の損傷は女優生命を絶たれる恐れすらありました。

この壮絶な事故の真相と心境の変化について、彼女は自著『吉高由里子のあいうえお』のなかで、次のように生々しく告白しています。

「それまではどこか仕事を他人事のように捉えていた自分がいた。でも、全身を管に繋がれ、鏡も見られない状態で天井だけを見つめていた時、初めて『生きたい』『あのお芝居の現場に戻りたい』と激しい執着が芽生えた」

退院直後、顔にまだ事故の痛々しい腫れと傷痕が残る状態のまま、彼女は蜷川幸雄監督の待つ『蛇にピアス』の撮影現場へと乗り込みました。身体にピアシングを施し、舌を二股に裂く「スプリットタン」の世界に溺れていく主人公・ルイ役。過激なヌードシーンやバイオレンス描写が要求される過酷な役柄に対し、一度は死線を踏み越えた19歳の吉高が見せた気迫は、スタッフ全員を圧倒しました。

2008年に公開された本作で、彼女は第32回日本アカデミー賞新人俳優賞およびブルーリボン賞新人賞を獲得。単なるアイドル女優の脱皮といった枠を飛び越え、命を削って役を生きる本物の表現者として、日本映画史にその名を刻みつけた瞬間でした。

木村 陽翔

木村 陽翔

テックライター兼ウェブディレクター

デジタルガジェットとスマート家電の検証記事を多数執筆。失敗しないモノ選びを提案します。

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