天然痘とは?致死率30%の恐怖と人類唯一の根絶史・保管の謎を追う
天然痘とは?致死率30%の恐怖と人類唯一の根絶史・保管の謎を追うの疑問点について、専門知識を詳しくお届けします。
天然痘が医学史において最も恐猛な感染症とされる最大の理由は、その圧倒的な毒性と致死力にあります。臨床疫学の集積データによれば、最も一般的な大痘瘡(Variola major)における天然痘の致死率は約20〜40%(平均約30%)に達します。さらに、稀にみられる出血性痘瘡や悪性無力性痘瘡の場合、致死率はほぼ100%に達したと報告されています。
近年、国際的に感染拡大が報じられた「エムポックス(旧サル痘)」や、発疹を伴う代表的疾患である「麻疹(はしか)」「水痘(水ぼうそう)」との差異を客観的データで比較・整理したものが以下の表です。
サル痘エムポックスとの違いにおいて決定的なのは、致死率の規模だけでなく「リンパ節の著明な腫れ(頸部、鼠径部など)」の有無です。天然痘ではリンパ節腫脹はあまり目立たないのに対し、エムポックスでは初期から強い腫脹が現れます。また、エムポックスは齧歯類や霊長類などの動物が自然宿主であるため根絶が極めて困難であるのに対し、天然痘は宿主が「ヒトのみ」に限定されていたことが、歴史的根絶を成し遂げられた決定打となりました。