増上寺の謎を解く|徳川将軍家が選んだ理由と黒本尊の勝運伝説

増上寺の謎を解く|徳川将軍家が選んだ理由と黒本尊の勝運伝説にまつわる興味深い視点を詳しく紐解きます。

増上寺の信仰の中核を成しているのが、安国殿に安置されている秘仏「黒本尊(くろほんぞん)」です。平安時代の高僧・恵心僧都源信(えしんそうずげんしん)の作と伝わる阿弥陀如来像であり、家康公が戦場へ出陣する際には必ず陣中に奉安し、戦勝を祈願し続けた守り本尊として知られています。

家康公はこの像の加護により、数々の絶体絶命の危機を脱して天下統一を成し遂げたことから、当初は「勝軍阿弥陀如来(しょうぐんあみだにょらい)」と尊称されていました。長年の護摩焚きやお香の煙によって全身が黒漆のような深い黒色に染まったことから、いつしか「黒本尊」と親しまれるようになり、厄除けと勝ち運を同時に授ける強力な霊仏として信仰を確立しました。

黒本尊は秘仏であるため常時開帳されているわけではありません。御開帳は原則として毎年1月15日、5月15日、9月15日の年3回のみ執行される「初祈願会・五月祈願会・秋祈願会」に限られています。この開帳日には、経営者や政治家、アスリート、大勝負を控えた受験生などが全国から集まり、安国殿の前には早朝から祈願の列が形成されます。

参拝者の間で圧倒的な人気を誇るのが、この黒本尊の霊験にあやかった「勝運(かちうん)守」です。漆黒の生地に金色の糸で葵の紋と「勝運」の二文字が力強く刺繍されたお守りは、単に勝負事に勝つことだけを目指すものではありません。「己の弱さに打ち勝ち、本来歩むべき道を開拓する」という意味が込められており、人生の転機に立つ人々にとって心強い精神的支柱となっています。

鈴木 陽菜

鈴木 陽菜

テックライター兼ウェブディレクター

暮らしを豊かにする便利アイテムや時短アイデアを中心に、実用的な情報をお届けします。

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