大相撲の大銀杏は誰でも結える?関取の特権と薄毛の真相を徹底解剖
大相撲の大銀杏は誰でも結える?関取の特権と薄毛の真相を徹底解剖の真相や最新動向に迫る! わかりやすい言葉で紐解きます。
大銀杏の美しい扇形は、力士自身が整えているわけではありません。相撲部屋や相撲協会に所属する専属の専門職人「床山」の手によって一つひとつ命が吹き込まれます。大相撲の世界には現在、約50名の床山が在籍しており、行司や呼出と同様に「特等床山」から「五等床山」までの厳しい階級制度のもとで技を磨いています。
大銀杏の結い方と手順は、数百年受け継がれてきた伝統工芸そのものです。その工程は、単に髪をまとめる作業とは根本的に異なります。
- 梳き(すき)と癖取り:まずは前日の油や汚れを梳き櫛(すきぐし)で丁寧に落とし、水吹きで湿らせながら髪の流れを完全に真っ直ぐ整えます。
- 鬢付け油の塗り込み:固さの異なる特製の鬢付け油(固練り油と柔らかい油)を手のひらで温めながら、髪全体に均等に馴染ませます。この油の粘り気が、激しい取組でも乱れない驚異的なキープ力を生み出します。
- 前髪と鬢(びん)の立ち上げ:前櫛を使って前髪を力強く引き上げ、両サイドの鬢を外側に張り出させます。この張り出しの角度やふくらみが、力士の顔立ちや風格を決定づけます。
- 元結(もとゆい)による強烈な結束:和紙を縒(よ)って作られた強靭な紐である「元結」を使い、後頭部の一点に向けて髪を極限まで引き絞ります。床山は歯で元結の一端を噛み締め、全身の体重をかけて一気に締め上げます。
- 大銀杏の成形(ハケとヘラ):束ねた毛先を折り返し、先端をイチョウの葉のように扇状に平たく広げます。木製の「髷バケ」やヘラを駆使し、油の表面張力と粘度を利用して左右対称の優美なアーチを描き出します。
力士たちが「新十両になったとき、大銀杏を結うと痛い理由に衝撃を受けた」と口を揃えるのは、この元結で締め上げる工程にあります。150kgを超える巨漢同士が頭から激突しても髷が崩れないよう、頭皮が引っ張られて目が吊り上がるほどの猛烈な力で締め付けられます。新十両力士の手記などでも、「初土俵入りから数日間は頭皮がジンジンと激しく痛み、枕に頭をつけることすらできず眠れなかった」という生々しい体験談が数多く残されています。