日本の安楽死はなぜ違法なのか?法制化の壁とスイス渡航の現実を追う
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新聞社や大学研究機関が実施する安楽死に関する世論調査結果では、一貫して国民の7割以上が「安楽死の法制化に賛成」「条件付きで認められるべき」と回答しています。少子高齢化と多死社会の深化に伴い、「家族に下の世話をさせたくない」「認知症や寝たきりになってまでチューブにつながれたくない」という切実な心情が支持率を押し上げています。
しかし、この数字の背景には深刻な歪みが潜んでいます。当事者となる医療従事者の間では、法制化に対する強い忌避感が根強く残っています。医師の本来の使命は「生命の保護と治療」であり、患者の命を自らの行為で断つ役割を国家から押し付けられることへの心理的・倫理的抵抗は極めて強固です。
医療ガバナンスを研究する専門家は、次のように指摘します。
「世論の多くは『自分が苦しみたくない』という素朴な願いから安楽死を望みます。しかし、法制度として導入された瞬間、医療者には『致死薬を処方し、死を確定させる執行者』としての役割が強制されます。万が一にも誤診や強要があった場合、取り返しがつきません。その責任を誰が背負うのかという議論が、賛成論の陰で置き去りにされています」
現場の医師が最も危惧しているのは、日本特有の「家族や社会への迷惑感」です。本音では生きたいと願いながらも、高額な医療費や家族の介護負担を気に病むあまり、「周囲に迷惑をかけないために安楽死を選ばざるを得ない」という不可視の同調圧力が生じる危険性が指摘されています。