ゆりかごから墓場までの意味と歴史|激変する社会保障の行方と現実

ゆりかごから墓場までの意味と歴史|激変する社会保障の行方と現実にまつわる興味深い視点を詳しく紐解きます。

「ゆりかごから墓場まで(From the cradle to the grave)」とは、人間が誕生してから死に至るまでの全生涯を通じて、国が社会保障制度を提供し、最低限の生活水準(ナショナル・ミニマム)を保障するという福祉国家の理念を指します。

この思想の青写真を描いたのは、イギリスの経済学者であり官僚でもあったウィリアム・ベバリッジ卿です。第二次世界大戦の戦火が激しさを増していた1942年、彼が主導してまとめた『社会保険および関連サービスに関する報告書』(通称:ベバリッジ報告)がすべての原点となりました。

ベバリッジ報告書の内容において、社会再建の最大の障壁として挙げられたのが「5つの巨人(貧困・疾病・無知・不潔・怠惰)」の克服です。なかでも貧困(窮乏)の撲滅に向け、すべての国民を対象とする包括的な社会保険制度の構築を提言しました。この報告書は戦時下の国民に希望を与え、爆発的なベストセラーを記録したと当時の英国内の報道資料に記録されています。

「福祉国家のスローガンは誰の言葉なのか」という疑問がしばしば投げかけられますが、言葉自体は古くから存在していたものの、政策方針として世界中に定着させたのは1945年に政権を奪取した労働党のクレメント・アトリー内閣です。アトリー政権はベバリッジ報告の構想を次々と法制化し、国家が個人の全生涯を支える体制を現実のものとしました。

中川 明日香

中川 明日香

ビジネス戦略アナリスト

エンタメ・カルチャー業界の深掘り取材を得意とし、現場のリアルな声をお伝えします。

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