舌切り雀の本当の結末と怖い原話|大きいつづらの中身と雀の正体とは
舌切り雀の本当の結末と怖い原話|大きいつづらの中身と雀の正体とはの全体像を丁寧に掘り下げてご紹介します。
一般的な舌切り雀のあらすじは、傷ついた雀を我が子のように可愛がる心優しいおじいさんと、それを快く思わない欲深なおばあさんの対比から始まります。おじいさんの留守中、おばあさんが障子貼りのために用意していた洗濯糊を雀が食べてしまい、激怒したおばあさんは雀の舌をハサミで切り落として追い払います。おじいさんは山奥深くへ雀を探しに行き、「雀のお宿」で歓待を受け、お土産に差し出された大小2つのつづらから「小さいつづら」を選びます。家に持ち帰って開けると金銀財宝が溢れ出しました。それを知ったおばあさんは雀のお宿へ押しかけ、無理やり奪った「大きいつづら」を帰り道で開けて化け物に襲われる、という筋立てです。
しかし、明治期以降に教科書や絵本へ収録される過程で削ぎ落とされた舌切り雀の原作の結末は、子どもの教育用とは思えないほど過激なものでした。江戸時代中期の赤本や各地の民話採集記録によると、おばあさんが開けた大きいつづらの中身からは、三つ目入道、鬼、大蛇、百足(ムカデ)、ヒキガエルなどの妖怪変化が這い出し、おばあさんは妖怪たちに生きたまま食い殺され、骨だけにされるという凄惨な最期を遂げています。一部の地域伝承では、おばあさんが恐怖のあまり絶命した後に亡骸が妖怪の餌になるなど、まさに因果応報の極限を描いたホラーサスペンスそのものでした。
また、民俗学において舌切り雀のおばあさんの正体や雀の真の姿についても深い研究が存在します。民間信仰において雀は、田畑の実りをもたらす「稲魂(うかのみたま)」や山神の使い、あるいは異界からの来訪神(まれびと)と位置づけられていました。つまり、雀を無条件の慈愛でもてなしたおじいさんは「神仏を尊ぶ敬虔な人間」であり、損得勘定と暴力で神聖な使いを傷つけたおばあさんは「異界のタブーを冒した人間」という構図です。つづらの中身は物質的な財宝や妖怪であると同時に、受け取る人間の心根を映し出す「異界の鏡」だったと言えます。