西加奈子『きりこについて』結末の真相!ルッキズムを覆す感動の理由とは?

西加奈子『きりこについて』結末の真相!ルッキズムを覆す感動の理由とは?について見逃せない 注意点を分かりやすい構成で解説いたします。

物語の主人公・きりこは、小学校5年生までは自分が世界で一番愛らしく、賢く、美しい少女だと信じて疑わずに育ちました。愛情深い両親から惜しみない肯定を受け、周囲の大人からも可愛がられていた彼女の人生は、純粋な幸福そのものでした。しかしその幸福は、ある日突然、無慈悲な形で粉砕されます。

恋心を抱いていた同級生の葵(あおい)くんに想いを伝える手紙を渡した瞬間、彼から投げつけられたのは「お前、ぶすやん」という決定的な拒絶でした。この一言により、きりこは自分が周囲の配慮と優しさに守られていただけの「客観的な不美人」であったという冷酷な現実に直面します。それまで信じていた世界の美しさは反転し、人間関係のすべてが嘲笑と憐憫に見え始めたきりこは、部屋に引きこもり、心を閉ざしてしまいます。

絶望の底に沈む彼女の前に現れたのが、人語を解する黒猫「ラムセス2世」でした。ラムセス2世は、一般的な慰めや気休めを一切口にしません。知性と気品に満ちた平坦なトーンで、社会の歪みや人間が抱く勝手な記号化の愚かさを説き、きりこの凝り固まった認知を少しずつ揺さぶっていきます。

迎える結末において、大人になったきりこは社会へ戻り、東京に出て就職を果たします。物語の幕切れで提示されるのは、整形手術で美貌を手に入れたり、都合よく運命の男性に救われたりする安易なシンデレラストーリーではありません。きりこは自らの造形を否定することも、卑屈に誇示することもなく、「これが私である」という事実をありのままに抱きしめ、世界そのものを自らの瞳で新しく祝福する境地へと到達します。黒猫との別れを経て、彼女が踏み出した一歩は、読者の胸に消えない確信と勇気を残します。

中村 さくら

中村 さくら

マネー&キャリアエディター

エンタメ・カルチャー業界の深掘り取材を得意とし、現場のリアルな声をお伝えします。

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