鈴虫の鳴き声は電話でなぜ消える?周波数の罠と鳴く仕組みを徹底解明

鈴虫の鳴き声は電話でなぜ消える?周波数の罠と鳴く仕組みを徹底解明の真相や最新動向に迫る! 専門的な視点でご紹介しています。

秋の鳴く虫として鈴虫と双璧をなす存在がマツムシ(松虫)です。童謡「虫のこえ」の一節にある「あれ松虫が 鳴いている チンチロ チンチロ チンチロリン」「あれ鈴虫も 鳴き出した りんりん りんりん りーんりん」というフレーズは日本人におなじみですが、野外で両者を的確に聞き分けられる人は多くありません。

実は文化史を遡ると、平安時代と現代では鈴虫とマツムシの名前が完全に逆転していたという驚くべき学術的事実が存在します。『源氏物語』の「鈴虫」の巻や『古今和歌集』に登場する記述を当時の発声模倣や文献描写から紐解くと、平安貴族が「松虫」と呼んでいたのは現在の鈴虫(リーンと鳴く虫)であり、「鈴虫」と呼んでいたのは現在のマツムシ(チンチロリンと鳴く虫)であったことが国文学と応用昆虫学の双方から証明されています。江戸時代中期から後期にかけ、庶民の間に「虫売り」の商業文化が浸透する中で、音の印象と名前の語感が次第に入れ替わり、現在の呼称として定着したとされています。

両者の音響的特性および他の代表的な秋の虫との違いについて、客観的な比較データを以下の表にまとめました。

虫の種類鳴き声(表現・特徴)中心周波数(Hz)電話での伝達可否・実情スズムシ(鈴虫)「リーン、リーン」
澄んだ鈴のような高音・金属音約4,000〜4,500Hzほぼ伝達不可(帯域外制限およびノイズ除去機能で消去される)マツムシ(松虫)「チンチロリン、チンチロリン」
歯切れがよくテンポの速い音約4,500〜5,000Hzほぼ伝達不可(鈴虫よりもわずかに高く、固定電話・スマホ共に遮断)エンマコオロギ「コロコロコロリー」
抑揚があり太く響く低めの声約2,000〜3,000Hz条件付きで聞こえる(人の音声帯域3.4kHz内に収まるため通話に乗りやすい)カンタン(邯鄲)「ルルルルル…」
途切れなく続く笛のような哀愁ある音約2,000〜2,500Hz比較的明瞭に通話可能(帯域下部に位置しフィルターを通過しやすい)

鈴虫とマツムシは共に4.5kHz前後の高い周波数を持つため電話を通さない共通点がありますが、エンマコオロギやカンタンのように2kHz台の周波数を持つ虫の声は、受話器越しでもしっかりと相手に届きます。この音響工学的な差を知るだけで、野外通話時の「なぜこの虫の音だけ聞こえるのか」という謎が綺麗に氷解します。

佐藤 大輔

佐藤 大輔

シニアコンテンツプロデューサー

最新のテクノロジーと生活デザインの融合をテーマに、国内外の最新トピックを発信しています。

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