ルサンチマンとは?嫉妬との決定的な違いと心の毒を解毒する全知識

ルサンチマンとは?嫉妬との決定的な違いと心の毒を解毒する全知識についての疑問解決ガイドをご紹介します。

言葉としてのルサンチマン(仏: ressentiment)は、フランス語の「再び(re-)」と「感じる(sentir)」が合わさった語源を持ちます。直訳すれば「何度も繰り返し湧き上がる苦々しい感情」を意味し、古くから憤りや怨恨を表す言葉として使われていました。

この言葉に独自の鋭い思想的定義を与えたのが、19世紀ドイツの哲学者フリードリヒ・ニーチェです。ニーチェは著書『道徳の系譜』の中で、強者や支配者に対する弱者の鬱屈した怨恨の心理をルサンチマンと名付け、人間心理の根源的な病理として提示しました。

ニーチェが説いた構造の核心は、奴隷道徳と貴族道徳の対立にあります。貴族や勝者のように自らの力で物事を切り拓く存在が持つ「強いこと、優れていることは良きことだ」という価値観に対し、自力で状況を変えられない弱者は、強者への憎しみを直接ぶつけることができません。そこで弱者は、次のように価値の転倒を図ります。

「富や力を持つ者は悪であり、貧しく無力で耐え忍ぶ自分たちこそが善である」

力で勝てない弱者が、道徳や倫理という枠組みを捏造して精神的な優位に立とうとするこの防衛メカニズムこそ、ニーチェが喝破したルサンチマンの本質です。

心理学においては、イソップ寓話の「酸っぱい葡萄の心理」(キツネが手の届かない葡萄を『どうせ酸っぱくて不味いに決まっている』と決めつけて諦める合理化)と重なる部分が多いものの、ルサンチマンはそこからさらに一歩進み、「あの葡萄を欲しがる奴は浅ましい悪党だ」と攻撃する点に決定的な違いがあります。

林 結菜

林 結菜

ライフスタイル編集者

エンタメ・カルチャー業界の深掘り取材を得意とし、現場のリアルな声をお伝えします。

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