1965年ツタンカーメン展の熱狂と黄金のマスク来日の真実
1965年ツタンカーメン展の熱狂と黄金のマスク来日の真実の要点を分かりやすくまとめてご紹介します。
「なぜ、黄金のマスクはもう日本に来ないのか?」という疑問を抱く方は少なくありません。一部のネット上の噂では「保険料が高騰したから」「日本側の警備体制に問題があったから」といった憶測が語られることがありますが、真相はエジプト政府による文化財保護方針の抜本的変更にあります。
黄金のマスクは、薄い金板を打ち出して作られており、表面にはラピスラズリ、トルコ石、ガラスペーストなどの繊細な象嵌が施されています。1960年代から1970年代にかけて世界各国を巡回した結果、輸送時の微細な振動や急激な温湿度変化による劣化が専門家から強く懸念されるようになりました。さらに、1970年のユネスコ条約採択などを契機に、人類共通の文化遺産を現地で厳重に保存・管理すべきだという国際規範が確立されました。
こうした経緯を受け、エジプト考古最高評議会は黄金のマスクをはじめとする最重要級の国宝について海外貸出を永久に禁止(海外不出)とする決定を下しました。したがって、今後どれほど巨額の予算や国家間の外交交渉を投じたとしても、黄金のマスクが再び日本の展示施設に並ぶ可能性はゼロに等しいのが冷厳な事実です。