映画『舟を編む』が日本アカデミー賞を制覇した理由と名作の真価
映画『舟を編む』が日本アカデミー賞を制覇した理由と名作の真価にまつわる興味深い視点を詳しく紐解きます。
物語の舞台は、玄武館という中堅出版社。営業部で変わり者扱いされていた青年・馬締光也(まじめ みつや)は、その卓越した言葉へのこだわりを見出され、新しい中型辞書『大渡海(だいとかい)』を編纂する辞書編集部へと引き抜かれます。
監修を務める老学者・松本先生やベテラン編集者の荒木、軽薄に見えて実は面倒見の良い西岡らに囲まれ、馬締は「今を生きる人々が思いを伝えるための舟」となる辞書編纂に没頭していきます。下宿先「早雲荘」の大家の孫娘・香具矢(かぐや)への不器用な恋心、用例採集カードの山、ページをめくりやすい専用紙「大渡海専用用紙」の開発など、幾多の困難が立ちはだかります。
物語後半では、作業開始から10数年が経過し、編纂作業は大詰めを迎えます。しかし、完成直前に痛恨の「言葉の抜け落ち(見出し語の欠落)」が発覚。編集部員総出で24万語に及ぶ全項目を再チェックする怒涛の徹夜作業が展開されます。病床の松本先生の逝去という悲哀を乗り越え、ついに15年の歳月をかけた『大渡海』が世に出る結末は、言葉の重みと人の意志の尊さを観る者の胸に深く刻み込みます。