輪島キリモトが国内外で選ばれる理由と能登復興のいま

輪島キリモトが国内外で選ばれる理由と能登復興のいまの見逃せないポイントを徹底的にカバーしました。

輪島キリモトの根底には、江戸時代後期から約二百年にわたり培われてきた木地づくりの深い歴史があります。輪島塗の工程は、原木を切り出して器の形を削り出す「木地(きじ)」、珪藻土を焼いた輪島地の粉を漆に混ぜて下地を固める「下地」、そして幾重にも漆を塗り重ねて研ぎ出す「上塗り」「加飾」など、100を超えるプロセスが高度に分業化されています。そのなかでもキリモトは、指物(四角い箱物や家具)や朴木地(刳りものや椀)を手掛ける木工所として、輪島塗の土台を支え続けてきました。

この伝統に革新をもたらしたのが、7代目当主である桐本泰一氏です。大学でプロダクトデザインを学び、オフィス家具メーカーのデザイナーとして現場を経験した桐本氏は、家業を継いだ際に「現代の食卓から漆器が遠ざかっている危機感」を強く抱きました。「特別な日のお祝い膳ではなく、朝の味噌汁や洋食のスープ、日々の珈琲にこそ漆を使ってほしい」という信念のもと、木地屋の枠を飛び越え、デザインから漆塗り、販売までを一貫して手掛けるブランド「輪島キリモト」を立ち上げたのです。

デザイナー視点の緻密な図面設計と、代々受け継がれてきた職人の手技が融合したことで、伝統工芸特有の敷居の高さを払拭したモダンで実用的なプロダクト群が誕生しました。

吉田 誠

吉田 誠

インテリア&ライフスタイルコーディネーター

最新のテクノロジーと生活デザインの融合をテーマに、国内外の最新トピックを発信しています。

Share this article
Twitter Facebook Pinterest