「かぐや姫の物語」帝のアゴはなぜ尖る?衝撃の角度と高畑勲の演出意図

「かぐや姫の物語」帝のアゴはなぜ尖る?衝撃の角度と高畑勲の演出意図について押さえておきたい 事実を厳選して解説いたします。

では、なぜ帝のあごはここまで尖っているのでしょうか。制作の舞台裏を検証すると、そこには高畑勲監督と人物造形・作画設計を手掛けた田辺修氏による、極めて鋭い人間描写の哲学が存在していました。

物語に登場する帝は、国で最も高貴な身分であり、誰もがかしこまる絶対的な権力者です。平安の絵巻物や伝統的な貴族描写において、高貴な人物は面長で引き締まった輪郭で描かれる傾向があります。しかし、本作における帝は「自らの美貌と権力に絶対的な自信を持ち、女はすべて自分になびくと思い込んでいるナルシスト」として描かれています。

高畑監督は、古典的な高貴さの様式美を極端にデフォルメすることで、帝の持つ「底の浅い自信」「傲慢さ」「どこか滑稽な俗物性」を観客へ直感的に伝える手法を取りました。リアルな骨格描写をあえて崩し、記号的な尖りを与えることで、かぐや姫が抱く違和感や嫌悪感を観客にもダイレクトに共有させる作画意図が貫かれているのです。

高橋 健太

高橋 健太

ライフスタイル編集者

Webメディアでの編集・執筆歴10年。読者の好奇心を刺激するストーリー作りを心がけています。

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