なぜ水素水ブームは消えた?失墜の真相と科学的根拠・行政処分を追う
なぜ水素水ブームは消えた?失墜の真相と科学的根拠・行政処分を追うの基礎知識と応用に迫る! わかりやすい言葉でご紹介しています。
かつて社会を席巻した水素水ブームの真相と経緯を紐解くには、時計の針を2007年まで巻き戻す必要があります。発端となったのは、日本医科大学の研究チームが世界的科学誌『Nature Medicine』に発表した1本の論文でした。培養細胞および動物実験において、分子状水素が有害な活性酸素(ヒドロキシルラジカル)を選択的に除去し、脳梗塞のモデルラットで脳組織の損傷を抑制したという発見です。
この学術的発見を契機に、健康関連ビジネスが急速に反応しました。2010年代前半から製品化が加速し、一般消費者に向けたプロモーションが過熱。とりわけブームのピークを迎えたのは2015年から2016年にかけてのことでした。テレビ番組での大々的な特集に加え、有名女優が自身の結婚披露宴の引き出物に高額な水素水生成器を選んだエピソードはワイドショーを独占し、世間の注目を一身に集めました。
しかし、この狂乱の裏で影を落としていたのが水素水芸能人ステマの評判です。当時台頭し始めていたInstagramや個人ブログを舞台に、モデルやインフルエンサーによる「肌荒れが劇的に改善した」「代謝が上がって痩せた」といったPR投稿が氾濫。明確な企業タイアップ表記のない宣伝活動がネット上で次々と暴かれ、消費者の間には早くも「商業主義にまみれた怪しい水」という疑念が芽生え始めていました。
結果として、水素水ブームはいつからいつまで続いたのかという問いに対しては、「2007年の基礎研究発表から助走を始め、2015〜2016年に絶頂を迎えた後、2017年を境に急速に退潮へ向かった」というのが業界関係者の一致した見解です。ブームの寿命は、実質的にわずか数年あまりの徒花でした。