近藤誠の死因と急死の真相|がん放置療法の功績と現在下された評価
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学究肌の放射線科医だった近藤氏を一躍時代の寵児へと押し上げたのは、一般向けの過激な医療啓蒙書でした。1996年に出版した『患者よ、がんと闘うな』(文藝春秋)は、それまで医師に対して絶対服従だった日本の患者層に強烈な意識革命をもたらしました。さらに2012年に上梓した『医者に殺されない47の心得』(アスコム)は、100万部を超える大ベストセラーを記録します。
同書の中で近藤氏が強力に主張したのが、以下の3つの柱でした。
- がんもどき理論:早期発見されるがんの大半は、放置しても命を奪わない良性の「がんもどき」である。本物のがんならば発生した時点で血行性転移が完了しており、手術で患部を切り取っても結果は変わらない。
- がん放置療法:自覚症状のないがんは治療せず、痛みのコントロールだけを行って自然に任せる方が、手術や化学療法の後遺症に苦しまず穏やかに天寿を全うできる。
- 抗がん剤の有害性:抗がん剤は延命効果に乏しく、劇薬によって正常細胞を傷つけ患者の寿命を縮めているに過ぎない。
なぜこの理論がこれほどまでに爆発的な支持を集めたのか。その背景には、昭和から平成初期の医療現場に蔓延していた「パターナリズム(父権主義的医療)」への患者側の強い不信感と恐怖がありました。十分な説明もないまま胃や食道が大きく切り取られ、副作用で激しい嘔吐や脱毛に苦しむ肉親の姿を見てきた人々にとって、「痛くない、苦しまない、そのまま生きられる」という言葉は、まさに暗闇の救いのように響いたのです。