クールベ『世界の起源』の真相と謎を解き明かす【モデルの正体】
話題沸騰中の クールベ『世界の起源』の真相と謎を解き明かす【モデルの正体】について、詳しいまとめをご紹介しています。
『世界の起源』が一般の目に触れるまでには、1世紀以上の歳月とスパイ小説のような流転の歴史がありました。当初この作品を発注したのは、オスマン帝国の外交官で稀代の美術コレクターであったハリル・ベイです。彼は自身の邸宅の浴室にこの絵を掲げ、普段は緑色のシルクのカーテンで覆い隠し、選ばれた賓客にのみ披露していました。
その後、ハリル・ベイの破産に伴い絵画はヨーロッパ各地を転々とします。第二次世界大戦中のナチスによる略奪危機を潜り抜けたのち、1955年にこの絵を秘密裏に購入したのが、20世紀を代表するフランスの精神分析家ジャック・ラカンでした。ラカンはこの絵をカントリーハウスに置き、義理の弟である画家アンドレ・マッソンに「別の風景画のカバー(だまし絵)」を描かせて二重構造の額縁の中に封印していました。
1981年のラカンの死去に伴い、遺族は莫大な相続税の物納としてフランス国家に本作を寄贈。1995年、ついにオルセー美術館の常設コレクションとして一般公開されるに至りました。現在では防弾ガラスと専門の監視員によって厳重に守られながら、世界中から訪れる鑑賞者を圧倒しています。