美瑛・ケンとメリーの木は今?伐採疑惑の真相とスカイライン聖地の現在
美瑛・ケンとメリーの木は今?伐採疑惑の真相とスカイライン聖地の現在についての疑問解決ガイドをお届けします。
昭和47年(1972年)9月、日産自動車が世に送り出した4代目スカイライン(C110型)のプロモーションは、日本の広告史に刻まれる一大センセーションを巻き起こしました。「ケンとメリー」という若い男女のカップルが、フォークデュオ・BUZZの歌うテーマ曲『ケンとメリー〜愛と風のように〜』のメロディに乗せて日本各地を旅するロードムービー仕立てのCMシリーズです。その第15作「地図のない旅」編のメイン舞台として選ばれたのが、美瑛の丘に立つこのポプラの木でした。
当時の日本の自動車広告は、エンジンの出力やスペック、走行性能を前面に押し出す手法が主流でした。しかし日産は、若者のライフスタイルや自由、旅情という情緒的価値を提示。結果としてC110型は販売期間中に累計約67万台というスカイライン史上最多の販売台数を記録し、クルマ自体が「ケンメリ」という愛称で社会現象化しました。それに伴い、ロケ地となった美瑛のポプラもまた「ケンとメリーの木」と名付けられ、全国から若者やファンが押し寄せる聖地へと変貌を遂げたのです。
当時を知る自動車愛好家や地元住民の回想録によれば、CM放映前は広大な農地に風よけとして植えられた単なる「境界木の1本」に過ぎませんでした。それが一台の名車の誕生とクリエイターの審美眼によって、北海道を代表する文化的モニュメントへと昇華したという事実は、日本のモータリゼーションと観光開発の結節点として極めて象徴的です。