賃貸フロアシートで後悔する人が続出?カビと糊残り・退去費用の真相
賃貸フロアシートで後悔する人が続出?カビと糊残り・退去費用の真相とは一体何なのか? 専門的な分析を整理してお届けします。
床DIYに失敗した入居者を最も震撼させるのが、退去時に突きつけられる高額な精算書です。「原状回復費用 トラブル」の多くは、借主側の「敷いていただけで元々の床を傷つけていない」という認識と、貸主側の「不適切な使用により下地を著しく汚損させた」という法的主張の衝突によって勃発します。
賃貸住宅の原状回復における公的な指針となっているのが、国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」です。この基準において、通常の生活による損耗(家具の設置跡、日焼けなど)は「通常損耗・経年劣化」として家賃に含まれており、貸主(オーナー)が負担すべきものと定められています。
しかし、DIYによる床シートの敷設は、ガイドライン上どのような位置づけになるのでしょうか。結論から言えば、シート敷設によって発生したカビ、糊残り、フローリングの変色や剥離は、ほぼ100%の確率で「借主の善管注意義務違反(過失・怠慢)」と判定されます。賃借人には、借りている物件を善良な管理者としての注意を払って維持管理する法律上の義務(民法第400条)があるためです。管理会社の承諾を得ずに勝手にシートを貼り、通気不良によるカビを発生させたり、強力な接着剤で床材の表面を破壊したりした行為は、通常損耗の範囲を明確に逸脱した背信行為とみなされます。
ここで重要なのが、床材の種類によって適用される「減価償却」のルールです。
下地が「クッションフロア」であった場合、ガイドライン上は耐用年数6年で残存価値1円となるグラフが適用されます。仮に入居から3年が経過していれば、借主の負担割合は約50%に減額される計算です。しかし、下地が木質系の本フローリング(突板・シートフローリング)であった場合、話は根本から変わります。フローリングは耐用年数による減価償却の対象外(建物本体と同一の扱い)とされており、経過年数による価値の減少が法的に認められません。
もし6畳のフローリング全体がカビや変色で張り替えとなった場合、廃材処分費や下地合板の補修を含めて20万円〜35万円前後の全額請求が発生しても、法的に抗弁することが極めて困難になります。これが、ネット上で「退去費用で給料が吹き飛んだ」と阿鼻叫喚の声が上がる冷徹な法的構造です。