高力ボルトとは?普通ボルトとの違い・摩擦接合の仕組みと規格を徹底解説
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どれほど優れた規格ボルトであっても、施工手順を誤れば設計通りの軸力は得られません。国土交通省の監修指針およびJASS 6において、高力ボルト締め付け手順はミリ単位・秒単位の厳格なプロトコルが義務付けられています。
実際の現場では、以下の5つのステップを経て初めて接合部の合格判定が下されます。
- 建方・仮ボルト締め:鉄骨建方時に骨組を安定させるため、接合部ボルト数の1/3以上(かつ2本以上)を普通ボルト(仮ボルト)で締め付け、部材の倒壊を防ぎます。本締め用高力ボルトを仮ボルトとして兼用することは禁止されています。
- 一次締め:専用の一次締めレンチを用いて、ボルト群の中央から外側に向かって均一に締め込みます(M20サイズで約100〜150N・m、M22で約150〜200N・m)。この工程により、板同士の隙間を完全に密着させます。
- マーキング作業:一次締め完了後、ボルトの頭部・座金・ナット・母材(鋼板)にかけて、白または蛍光色の油性マーカーで一直線の合マークを入れます。この線が、本締め後の「共回り(ともまわり)」や「軸の回転」を見抜く決定的な証拠となります。
- 本締め(本締め完了):トルシア形の場合はシャーレンチで締め込み、ピンテール破断が起きるまで完全にトルクを伝達させます。高力六角ボルトの場合はトルク法またはナット回転法(標準120度回転)で締め付けます。
- 外観・本締め検査:マーキングのズレ角を確認し、ナットのみが適正角度(トルシア形でおよそ60〜120度程度、六角ボルトで約120度±30度)回転しているか、座金やボルト軸が一緒に回っていないか(共回り不良)、ピンテールが全数破断しているかを全数目視検査します。
建設現場で働く熟練鳶職の手記や現場監督の証言によると、「ピンテールが折れたから施工完了、と油断するのが一番危ない。一次締めを怠って鋼板が浮いたまま本締めすると、見かけ上はピンテールが折れていても板の密着不足で規定軸力が出ていないことがある」と指摘されています。見えない軸力を確実に生み出すための丁寧な下地作りこそがプロの現場の絶対条件です。