『かわいそうなぞう』は嘘か真実か?上野動物園の悲劇と結末の全貌
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本作がフィクションではなくノンフィクションを謳っている以上、現代の読者が最も気になるのは「どこまでが歴史的事実なのか」という点です。東京都公文書館の記録や、当時の上野動物園の飼育係長であった福田三郎氏の手記『実録 上野動物園』などを照らし合わせると、絵本と史実の間にはいくつかの明確な差異が存在します。
項目絵本『かわいそうなぞう』の描写史実(上野動物園の公式記録・手記)編集部の見解・分析処分の命令時期空襲が激しくなった戦争末期1943年(昭和18年)8月(本格的空襲の前)東京大空襲(1945年)以前の段階で政治的判断として下された。ゾウの名前ジョン、トンキー、花子ジョン、トンキー、ワンリー(王莉)ワンリーは戦時中の敵性語・外国人名排斥の影響で「花子」と呼ばれていた。殺処分の実行手段毒殺失敗後、3頭とも絶食による餓死ジョンは毒殺失敗後に餓死、ワンリーとトンキーも絶食・絶水餓死の苦しみは事実。硝酸ストリキニーネの経口投与や注射が効かなかった。芸をして餌をねだる姿トンキーと花子が健気に芸をし続ける実際に芸をして飼育員に近づいた記録あり福田係長の手記にも「懸命に芸をする姿に涙した」旨が明記されている。命令の主導者「軍隊(軍部)」からの強制東京都長官(官選知事)・大達茂雄軍部ではなく内務省系官僚トップの行政命令によるものだった。
比較表から分かる通り、大枠の悲劇やゾウたちの凄惨な死に様はほぼ紛れもない実話です。ただし、物語をわかりやすくするために「花子」という日本風の名前に統一されたことや、命令の主体を行政長官から抽象的な「軍隊の命令」へと置き換えた点に、時代背景を反映した児童文学的アレンジが見られます。