1尺は何センチ?曲尺と鯨尺の違いや計算式・早見表までプロが徹底解説
1尺は何センチ?曲尺と鯨尺の違いや計算式・早見表までプロが徹底解説について見逃せない ポイントを厳選して解説いたします。
日常や建築現場で「1尺」という場合、基本的には約30.303cmを指します。10寸が1尺であり、1寸なら約3.03cmです。しかし、着物や和裁の現場に足を踏み入れると、この常識は覆ります。和裁で用いられる「鯨尺」における1尺は約37.88cm(正確には約37.879cm)となり、通常の尺よりも約7.5cmも長くなります。
この2つの物差しの違いを把握していないと、大きなトラブルにつながります。例えば、呉服店で「裄丈(ゆきたけ)1尺8寸」と指示された寸法を、一般的な定規(曲尺)で計算してしまうと、袖丈が極端に短くなって仕立て直しが必要になります。逆に、建築現場で鯨尺の数値を当てはめれば資材の切り出しがすべて狂ってしまいます。
なぜ同じ「尺」という名称でありながら、全く異なる2つの基準が存在するのでしょうか。その背景には、それぞれの道具が発展してきた歴史と対象物の性質があります。
建築や木工に用いられてきた「曲尺(かねじゃく)」は、金属製でL字型の直角定規であり、建材の直角を出し、複雑な勾配を計算するために極めて高い剛性と精度が求められてきました。一方の「鯨尺(くじらじゃく)」は、かつてクジラの髭や竹で作られたしなやかな物差しで、布地を傷つけず、柔らかい反物を測るために使われてきた道具です。衣服の仕立てでは、布の重みや縫い代のゆとりを持たせるため、建築用の尺よりも約1.25倍長い規格が自然発生的に定着し、江戸時代以降に公式な基準として認められたという歴史的背景があります。