羽二重の知られざる由来とは?福井銘菓の秘密と老舗名店を徹底比較
羽二重の知られざる由来とは?福井銘菓の秘密と老舗名店を徹底比較についての最新情報をお届けします。
ネット上のQ&Aサイトや旅先での会話で頻繁に見受けられるのが、「東京の日暮里にある羽二重団子と福井の羽二重餅は同じ系列なのか?」という疑問です。調査報道の観点から明確に結論付けると、両者は発祥年代も原料も製法も全く異なる、歴史的偶然によって同じ名前を冠した「完全な別物」です。
東京・日暮里の「羽二重団子(はぶたえだんご)」は、江戸末期の文政2年(1819年)、初代の澤野久蔵氏が「藤の木茶屋」を開いたことに始まります。原料にはもち米ではなく「うるち米」を用い、きめ細かく搗(つ)きあげた平らな丸い団子に生引溜醤油を塗って香ばしく焼いたものと、滑らかなこし餡で包んだものの2種類が定番です。これが「まるで羽二重織のように肌理(きめ)が細かく美しい」と江戸の町人や文人たちに絶賛され、屋号そのものが羽二重団子へと変化しました。夏目漱石の『吾輩は猫である』や正岡子規の随筆にも登場する、江戸・東京を代表する歴史的甘味です。
対する福井の羽二重餅は前述の通り、明治後期の産業振興から生まれた「餅粉+砂糖+水飴」による薄板状の求肥菓子です。団子と餅菓子というジャンルの相違はもちろん、「織物に例えられた菓子(東京)」と「織物の産地そのものが産んだ菓子(福井)」という成立プロセスの違いを理解しておくことで、旅先や贈答先での誤解を綺麗に避けることができます。