伊都内親王願文の真相に迫る!三筆・橘逸勢の筆跡と数奇な運命
伊都内親王願文の真相に迫る!三筆・橘逸勢の筆跡と数奇な運命の特集記事をお届けします。専門的な知識が満載です。
本作の正式な読み方は「いとないしんのうがんもん」です。巻子本1巻からなるこの文書は、伊都内親王が自らの土地や資財を東大寺の諸仏および修二会(お水取り)の費用として寄進(施入)した際、その趣旨を書き記した願文です。
料紙には黄麻紙(こうまし)が用いられ、縦約30センチ、横約4メートルにわたる巻物に、力強くも自由な墨痕が連なっています。かつては東大寺に伝来し、のちに皇室へ献上され、現在は皇居三の丸尚蔵館が管理する最高峰の国宝コレクションの一つとして大切に守り継がれています。
書道史において平安初期は「三筆」と呼ばれる空海・嵯峨天皇・橘逸勢が活躍し、唐の先進的な書風が劇的に受容された黄金期でした。そのなかでも本作は、唐風の美意識を極限まで昇華させた唯一無二のモニュメントとして位置づけられています。