「出」の書き順で真ん中を一気に貫く大人が続出?正しい筆順の真相
「出」の書き順で真ん中を一気に貫く大人が続出?正しい筆順の真相とは一体何なのか? 主要なファクトを丁寧に紐解いて紹介します。
なぜこれほど多くの人が、示し合わせたかのように「真ん中を一気に貫く」という同じ過ちを犯してしまうのでしょうか。これには、文字情報のデジタル化と印刷技術の歴史が深く関係しています。ここに、出書き順間違いやすい理由の最大の核心があります。
書籍や新聞、スマートフォン画面で私たちが日常的に目にする明朝体やゴシック体のフォントでは、「出」の中央の縦線が上から下まで隙間なく一直線につながって表示されています。金属活字の黎明期、文字の左右対称性と長方形のマス目の中での物理的バランスを追求する過程で、中央の縦棒を一本の太い垂直軸としてデザインする様式が定着しました。この活字デザインを何万回と網膜に焼き付けてきた結果、私たちの脳内には「中央に1本の軸が通っている」という強固な視覚バイアス(フォント錯視)が形成されてしまったのです。
しかし、文化庁が公表している「常用漢字表の字体・字形に関する指針」および文部省(現・文部科学省)が昭和33年に制定した「筆順指導の手びき」における常用漢字筆順の真相を確認すると、手書き文字(楷書)と印刷文字(活字)の思想的な違いが明確に述べられています。印刷文字が見た目の均整を保つために線を直結させているのに対し、手書きの楷書は「筆の自然な運び」と「部首の骨格」を最重要視します。
漢字の起源である甲骨文字や金文を検証すると、「出」は植物の芽が地上に伸び出る様子を表す「屮(てつ)」と、穴やくぼみ・足跡を表す「凵(かん)」が合体してできた会意文字です。つまり、「穴から何かが外へ出てくる」という動的な意味を持っています。器(凵)から芽(屮)が出る構造である以上、中央に貫通する一本棒など元来存在していなかったのです。文字の成り立ちと出の部首が「凵(うけばこ)」であることを知れば、下半分に中央の縦棒を引く理由がどこにもないことが論理的にも納得できます。