舌小帯短縮症の手術失敗と後悔の実態|再癒着や滑舌不変を防ぐ全知識
舌小帯短縮症の手術失敗と後悔の実態|再癒着や滑舌不変を防ぐ全知識の基本情報から最新動向までを一挙に解説しました。
比較的短時間の外来処置で終わる小手術とはいえ、外科的侵襲である以上、舌小帯短縮症の手術には後遺症や特有のリスクが伴います。特に舌下部はデリケートな解剖学的構造を有しており、安易な処置は取り返しのつかない事態を招きかねません。
代表的な後遺症・偶発症として挙げられるのが以下の点です。
- 舌神経・舌下神経の損傷:舌の深部や側方には味覚・知覚を司る舌神経や、舌の運動を支配する舌下神経が走行しています。切除の深さや範囲を誤ると、舌先のしびれ(知覚麻痺)や味覚障害、運動麻痺が後遺症として残るリスクがあります。
- 舌下腺開口部(唾液腺)の閉塞:切除部位が舌下小丘(唾液の出口)に近すぎる場合、瘢痕化によって唾液腺の管が詰まり、舌下部に唾液が溜まる「ラヌーラ(ガマ腫)」を形成することがあります。
- 異常出血と血腫:舌下静脈を傷つけると止血が困難になり、口腔底に巨大な血腫を形成して気道を圧迫する重篤な事態も報告されています。
また、患者が最も不安を抱く「舌小帯切除後の痛みはいつまで続くのか」という疑問について、臨床的な経過観察データでは、痛みのピークは術後当日〜3日目に集中します。食事や会話で創部が擦れるため、小児では機嫌が悪くなり哺乳・摂食拒否を起こすことが珍しくありません。通常は処方される鎮痛消炎剤によってコントロール可能であり、粘膜の上皮化が進む7〜10日前後で鈍い違和感へと落ち着きます。しかし、創部の感染や強い瘢痕拘縮が生じた場合は、2週間以上痛みが引かないケースも見られます。
万が一、術後の癒着や引きつれが起きた場合、舌小帯短縮症の再手術には大きなリスクが伴います。再手術部位は繊維化して硬く血流が乏しいため、初回手術に比べて切開時の出血量が増加し、正常組織との境界が判別しにくくなります。これにより神経損傷のリスクが跳ね上がるだけでなく、再び癒着を繰り返す確率も極めて高くなるため、多くの歯科口腔外科医は再手術の適応に強い慎重姿勢を取ります。