歩きながらイヤホンは法律違反?意外な落とし穴と過失割合の真実

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刑罰や反則金がないからといって、無警戒にイヤホン歩行を続けることには、極めて深刻な金銭的代償が伴います。それが民事裁判における「過失割合(過失相殺)」の加算です。

通常、道路交通法上は歩行者が手厚く保護されており、歩行者対自動車の接触事故では自動車側の前方不注意や安全配慮義務違反が問われ、歩行者の過失は「ゼロ」もしくは「10〜20%程度」にとどまるのが基本です。しかし、歩行者がイヤホンで周囲の音を完全に遮断していた場合、この力関係が崩れます。

過去の裁判例(大阪地裁平成28年12月8日判決などの過失認定の枠組みや、損害賠償実務の過失相殺基準)においても、運転者・歩行者双方の注意義務が詳細に検証されてきました。歩行者が大音量の音楽を聴きながらノイズキャンセリング機能をオンにし、車の接近音やクラクションに気づかずに道路へ飛び出した事故では、裁判所によって歩行者側の「著しい過失」または「重大な過失」が認定される傾向が強まっています。

具体的な数字で見てみましょう。本来であれば「歩行者10:車90」となるはずだった事故において、イヤホン装着による周囲への注意義務違反が認められた場合、歩行者の過失割合が10%〜20%程度加算され「30:70」などに修正されることがあります。もし治療費や休業損害、後遺障害逸失利益などの総損害額が2,000万円に達する事故だった場合、過失割合が10%から30%に増えるだけで、受け取れる賠償金は1,800万円から1,400万円へと400万円も激減します。刑事罰がない代わりに、事故の代償はすべて自らの財布と身体に跳ね返ってくるのです。

山口 彩花

山口 彩花

写真家・フォトエディター

グルメと旅を愛するフリーライター。全国各地の隠れた魅力を独自の視点から紹介します。

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