普通の貧血と何が違う?巨赤芽球性貧血の原因と悪性貧血の決定的な差
普通の貧血と何が違う?巨赤芽球性貧血の原因と悪性貧血の決定的な差とは一体何なのか? 背景や要点を丁寧に紐解いて紹介します。
医療現場やメディアの解説でしばしば混同されるのが、「巨赤芽球性貧血」と「悪性貧血」の境界線です。結論から言えば、悪性貧血は巨赤芽球性貧血という大きな病態グループの中に含まれる「特定の自己免疫疾患」を指します。
20世紀前半、ビタミンB12の存在が突き止められる以前の時代、原因不明の高度な貧血と神経麻痺を伴って命を落とす不治の病として恐れられた歴史から、「悪性(Pernicious)」という苛烈な名が付けられました。現代医学において悪性貧血と診断されるのは、自己抗体である内因子抗体 陽性や抗胃壁細胞抗体が確認され、胃粘膜の萎縮(自己免疫性萎縮性胃炎/A型胃炎)によってビタミンB12を腸から吸収するための「内因子」が分泌できなくなったケースに限定されます。
また、臨床上極めて遭遇頻度が高いのが胃切除後 貧血です。胃がんや消化性潰瘍などで胃を全摘出、あるいは広範囲に切除した場合、内因子の分泌源が物理的に消失します。肝臓には健常時で約2〜5mgのビタミンB12が貯蔵されているため、胃切除直後に発症することはありません。しかし、手術から約3〜5年が経過した頃に貯蔵が底をつき、突如として重篤な巨赤芽球性貧血を発症するパターンが典型的な臨床経過として知られています。