天皇陛下の被災地訪問に宿る祈り|膝つき対話の舞台裏と皇室の役割

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テレビカメラや新聞報道が映し出すのは、両陛下が避難所で被災者と向き合う静止画や短い映像クリップに過ぎません。しかし、現場の空気感とそこに交わされた言葉の温度は、報道の枠組みを遥かに超えるものでした。

能登半島地震の避難所となった輪島市ふれあい健康センターにおいて、両陛下はスリッパを脱ぎ、床に直接膝を折って正座に近い姿勢を取られました。天皇陛下は被災者の顔を真正面から見つめ、「大変な思いをされましたね」「お体は大丈夫ですか」と、極めて穏やかな低音で語りかけられました。家族や家財を失い茫然自失となっていた高齢の女性に対し、皇后雅子さまは自らの身体をさらに前傾させ、目線を相手の胸元ほどまで低くして「本当によくご無事で……寒さは厳しくありませんでしたか」と涙ぐみながら手を取り合われました。

当時、皇后雅子さまのご体調に関しては、長期にわたる療養の過程にあり、終日の強行軍に対する懸念も宮内庁内部にありました。しかし雅子さまは「被災地の方々のもとへ伺い、直接お見舞いを伝えたい」という強いご意志を示され、一切の疲労の色を見せることなく、予定時間を大幅に超過して一人ひとりの声に耳を傾け続けられました。被災者が思わず「もう何も残っていません」と漏らした際、陛下が深く頷きながら沈黙を共有された数秒間の重みは、言葉以上に被災者の孤独を癒やす力を放っていました。

山下 哲也

山下 哲也

自動車・モビリティライター

デジタルガジェットとスマート家電の検証記事を多数執筆。失敗しないモノ選びを提案します。

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