特急しなのはなぜ酔う?激しい揺れの真相と新型385系で失敗しない座席選び
特急しなのはなぜ酔う?激しい揺れの真相と新型385系で失敗しない座席選びについて押さえておきたい 事実を分かりやすく解説いたします。
「松本を過ぎて山道に入った途端、フワッとした浮遊感とともに強烈な吐き気に襲われた」「新幹線と同じ感覚でパソコン作業をしていたら数十分でダウンした」。SNSや旅行コミュニティでは、特急しなのにまつわるこうした悲痛な乗車体験談が後を絶ちません。利用者の証言を集積すると、体調不良を訴える人の多くが木曽福島から中津川にかけての木曽谷区間で症状を悪化させていることが分かります。
乗客を悩ませる揺れの正体は、特急しなのに採用されている「制御付き自然振子方式」という特殊な走行メカニズムにあります。中央西線は木曽川の険しい谷あいに敷設されたため、半径数百メートルクラスの急カーブが連続する難所です。通常の列車であれば大幅に減速を余儀なくされるカーブにおいて、車体を内側に最大約5度傾けることで遠心力を相殺し、本則(通常の上限速度)+時速35kmという俊足で通過することを可能にしました。
しかし、この遠心力キャンセルの代償として生じるのが、特有の「横揺れ」と「ねじれ感」です。カーブ手前であらかじめコンピュータ制御によって車体を傾け始める際、乗客の身体には重力とは異なる斜め方向の加速度が加わります。人間の脳は、耳の奥にある三半規管や耳石器が感知する「傾きと加速の感覚」と、目から入る「車内の静止した視覚情報」に矛盾が生じると、自律神経が失調して乗り物酔い(動揺病)のサインを出します。特にスマートフォンを注視したり読書をしたりすると、視界が車内に固定されるため脳の混乱が極限に達し、急激な吐き気を引き起こすのです。
現場の車掌や長年乗り慣れたビジネス客の証言によると、「最も揺れを増幅させるのは台車(車輪)の真上にあたる車両の端の席」だといいます。酔いを防ぐためには、乗車前の酔い止め薬の服用はもちろんのこと、揺れの影響が最も少ない車両中央付近の座席を指名買いし、スマートフォンをしまって遠くの山並みを眺めることが医学的・力学的な最善策となります。