体性痛とは?内臓痛との決定的な違いや原因・鋭い痛みの見分け方を徹底解説
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医学において痛みは大きく「侵害受容性疼痛」「神経障害性疼痛」「痛覚変調性疼痛」の3系統に分類されます。このうち、組織に実際の損傷や炎症が起きたときにアラームとして鳴り響くのが侵害受容性疼痛であり、その中核を占める存在こそが体性痛です。身体の外表や骨格筋、関節、骨膜などに存在する侵害受容器(ポリモーダル受容器など)が、機械的な外力や熱、化学物質(プロスタグランジンやブラジキニン)の刺激を受けることで電気信号が発生し、脊髄を経由して大脳皮質へと届けられます。
体性痛の際立った特徴は、何と言っても局在性が極めて明瞭である点に尽きます。患者に対して「痛い場所はどこですか?」と尋ねた際、手のひらで腹部全体を曖昧にさするのではなく、「ここです」と人差し指の先端で患部を指し示せる(Point pain)場合、医師はその痛みを体性痛と判断します。この明確な位置感覚をもたらすのは、末梢神経の中のAδ(エーデルタ)線維と呼ばれる神経線維です。比較的太く、髄鞘(絶縁体)に覆われたAδ線維は秒速数メートルから数十メートルという高速で刺激を伝えるため、人間は怪我を負った瞬間に「まさにその場所」が傷ついたことを瞬時に認知できる構造になっています。
さらに臨床現場では、体性痛をその深さに応じて「表在性痛」と「深部体性痛」の2つに厳密に区分して評価します。
第一の表在性痛(皮膚痛)は、皮膚や皮下組織、粘膜への刺激によって生じる痛みです。針で刺されたような一瞬のチクッとする鋭痛(一次痛・Aδ線維伝達)に続き、少し遅れてズキズキとした灼熱感を伴ううずき(二次痛・C線維伝達)が追いかけてくる二相性のパターンを典型とします。日常生活における擦り傷、切り傷、軽いやけどなどがこれに該当します。
第二の深部体性痛は、筋肉、腱、関節包、骨膜、あるいは胸膜や腹膜(壁側組織)に生じる痛みです。表在性痛に比べるとやや深部に位置し、ずっしりとした重苦しい痛みや持続的なうずきを呈しますが、依然として局在性は保たれます。激しい運動後の筋肉痛、関節の捻挫、骨折の激痛、そして外科領域で最も警戒される「腹膜刺激症状」による腹痛がこの深部体性痛に分類されます。