カンヌ最高賞パルムドール徹底解説|歴代名作と日本人快挙の真相
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カンヌの歴史において、日本映画の存在感は極めて大きな足跡を残してきました。歴代の日本人パルムドール(前身の最高賞を含む)受賞者は以下の名匠たちです。
第7回(1954年)において、衣笠貞之助監督の『地獄門』が当時の最高賞であるグランプリを獲得。大映が誇るイーストマン・カラーの鮮烈な色彩美と平安絵巻の様式美は、西欧の映画人たちに強烈なオリエンタリズムと衝撃を与えました。
その後、第33回(1980年)に黒澤明監督の『影武者』がパルムドールを受賞(ボブ・フォッシー監督『オール・ザット・ジャズ』と同点受賞)。巨匠・黒澤が壮大な戦国絵巻の中に「影」として生きる人間の実存的苦悩を焼き付け、フランシス・フォード・コッポラやジョージ・ルーカスらの熱烈な支援を背に受けた世界的大復活劇でした。
そしてカンヌの歴史に異彩を放つのが、今村昌平監督による2度のパルムドール制覇です。第36回(1983年)の『楢山節考』では姥捨て山伝説を土着的な生命力と冷徹なリアリズムで描き、第50回(1997年)の『うなぎ』では社会復帰を目指す男の孤独と再生をユーモアを交えて描き出しました。同一監督によるパルムドール2度受賞は、世界でもフランシス・フォード・コッポラ、ダルデンヌ兄弟、ケン・ローチ、ミヒャエル・ハネケ、リューベン・オストルンドなど極めて限られた巨匠のみに許された快挙です。
記憶に新しいのが、第71回(2018年)に是枝裕和監督の『万引き家族』が満場一致に近い支持を集めて受賞した瞬間です。血縁を超えた疑似家族が犯す犯罪を通じて、現代日本の格差社会、貧困、法制度の狭間に落ちる人々を温かくも容赦ない眼差しで活写。当時の審査員長ケイト・ブランシェットが授賞記者会見で「演技、演出、撮影、すべてが見事に調和し、私たちの心を捉えて離さなかった」と絶賛したように、グローバルな共感を呼び起こすヒューマニズムと社会的鋭さが評価されました。