明日に向かって撃てラストの真相|名作西部劇の結末と実話の過酷な最期

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本作の伝説的な評価は、最初から約束されていたわけではありませんでした。当時の配給大手20世紀フォックスの重役陣は、完成したフィルムを観て頭を抱えたと伝えられています。「西部劇なのに主人公たちが終始逃げ回っている」「主役が一度も人を撃ちたがらない」「クライマックスで死ぬ結末は商業映画としてリスクが高すぎる」と、激しい懐疑の目を向けられていました。

キャスティングにも紆余曲折がありました。すでにハリウッドの大スターだったポール・ニューマンに対し、サンダンス役には当初スティーブ・マックィーンやマーロン・ブランドが候補に挙がっていました。しかし、当時まだ無名に近かったロバート・レッドフォードの起用を強く推したのは、監督のジョージ・ロイ・ヒルとニューマン本人でした。ニューマンは自らのネームバリューを盾にしてスタジオを説得し、この決断がレッドフォードを一躍トップスターへと押し上げ、二人の固い友情関係を生む契機となったのです。

さらに、映画史に輝く主題歌「雨にぬれても」(Raindrops Keep Fallin' on My Head)の誕生にも劇的なドラマがありました。名匠バート・バカラックが作曲し、B.J.トーマスが歌ったこのポップナンバーは、ブッチがサンダンスの恋人エッタ(キャサリン・ロス)を自転車の前カゴに乗せて戯れる有名なシークエンスで流れます。

荒涼とした西部劇の劇中に、当時としては異例の明るく軽妙な現代的ポップスを流す試みに対し、試写会では「場違いだ」「緊迫感を削ぐ」と大猛反発が起きました。しかしバカラックとヒル監督は、「迫り来る近代化の波(自転車という新技術の象徴)と、彼らが享受する束の間の無垢な幸福を描くにはこの音しかない」と譲りませんでした。結果として、この楽曲は第42回アカデミー賞で主題歌賞と作曲賞の2冠に輝き、ビルボードチャートで4週連続1位を記録する世界的な大ヒットとなったのです。

中川 明日香

中川 明日香

ビジネス戦略アナリスト

エンタメ・カルチャー業界の深掘り取材を得意とし、現場のリアルな声をお伝えします。

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