薬が効かない理由は肝臓にあり?初回通過効果の仕組みと投与経路の真実
薬が効かない理由は肝臓にあり?初回通過効果の仕組みと投与経路の真実について分かりやすく解説いたします。専門家の見解をご覧ください。
初回通過効果によって有効成分の多くが失われてしまう薬や、一刻も早く血中濃度を上げたい救急薬では、あえて「口から飲み込まない」投与経路が選択されます。これらは生体の血管構造を巧みに利用した製剤工夫です。
代表例が狭心症治療薬のニトログリセリンなどに用いられる「舌下投与」です。舌の裏側にある粘膜は毛細血管が非常に豊富で、ここから吸収された薬は門脈を通らず、直接上大静脈から心臓へと流れ込みます。初回通過効果を完全に回避できるため、極めて微量でも数十秒から数分で強力な効果を発揮します。
また、小児の発熱時や嚥下困難な患者に使われる「坐剤(肛門投与)」も同様の仕組みを持ちます。直腸下部の静脈から吸収された薬物は、門脈を経由せずに下大静脈へと直接入るため、肝代謝を約半分から大部分回避して速やかに全身へ作用します。点鼻薬や吸入剤、貼り薬(経皮吸収薬)なども、初回通過効果を受けずに成分を届ける有効な手段です。