バンプ『Ray』はなぜ痛みを肯定するのか?結成30周年に迫る「あの光」の真相
バンプ『Ray』はなぜ痛みを肯定するのか?結成30周年に迫る「あの光」の真相について重要なポイントを解説いたします。最新の情報をチェックしてください。
『ray』を語る上で、クリプトン・フューチャー・メディアのバーチャルシンガー「初音ミク」とのコラボレーションに触れないわけにはいかない。今やVTuberやAIシンガーと生身のアーティストが共演することは日常茶飯事となったが、2014年当時、日本のメジャーロックの頂点に立つバンドがボーカロイドと手を取り合うことは、カルチャーの地殻変動に等しい事件だった。
東京ドームの巨大モニターに投影された3Dホログラムのミクと、汗まみれで楽器をかき鳴らす4人の人間。それは決してキワモノの話題作りではなかった。生身の人間が歌う孤独と、デジタルの海から立ち上がった非実在の電子の声が重なり合った瞬間、音楽の持つ「形のない本質」が剥き出しになった。
「○×△どれかなんて 皆と違うだけで 誰かが決めたもの」
藤原基央が書いたそのリリックをミクがなぞるとき、ボーカロイドに対する偏見も、ロックというジャンルの純血主義も、すべて無力化された。あのコラボレーションは、ポップカルチャーの境界線を鮮烈に融解させた先駆的実験として、2020年代半ばを越えた現在の音楽史においても特筆すべき金字塔として語り継がれている。