愛犬のふらつきと首の傾きに狼狽えない!前庭疾患の初期症状と看護法
愛犬のふらつきと首の傾きに狼狽えない!前庭疾患の初期症状と看護法の全体像を分かりやすくまとめてご紹介します。
シニア犬の前庭疾患において、血液検査や耳鏡検査を行っても明確な基礎疾患が特定できないものを特発性前庭疾患(いわゆる老齢性前庭疾患)と呼びます。臨床獣医師の報告によると、高齢犬の前庭症状の約半数以上がこの特発性に該当します。内耳の内リンパ液の循環不全や微小血管の虚血、局所的な一過性の炎症などが推測されているものの、決定的な単一原因は現代獣医学においても完全には解明されていません。
特発性以外の末梢性原因としては、重度の外耳炎から進行した中耳炎・内耳炎、耳毒性のある薬剤の影響、甲状腺機能低下症に伴う神経障害などが存在します。これらが除外された場合、治療方針は「対症療法による急性期の苦痛緩和」が主軸となります。
犬の前庭疾患の原因と治療法における基本プロトコルは、激しい回転性めまいに伴う悪心(吐き気)のコントロールです。動物用制吐薬であるマロピタント(商品名:セレニア)の注射や投与、めまいを緩和する循環改善薬、必要に応じた抗生剤や抗炎症薬の投与が行われます。水分や食事が自力で摂れない場合は、脱水を防ぐための皮下点滴や静脈点滴が選択されます。
多くの飼い主が恐れるのが老犬の前庭疾患と余命の関連性です。「この病気の発症によって余命いくばくもない状態になったのではないか」と悲観する声が後を絶ちませんが、特発性前庭疾患そのものが直接の死因となることは極めて稀です。自立歩行が一時的に困難になることで介護負荷は増大するものの、適切なケアを施せば、従前と変わらない寿命を全うできるケースが標準的です。