竪穴式住居の読み方と「式」が消えた理由|教科書の謎と歴史の真実

竪穴式住居の読み方と「式」が消えた理由|教科書の謎と歴史の真実にまつわる最新トピックを分かりやすく発信ます。

「竪穴住居は縄文時代と弥生時代だけの原始的な住まい」という認識は、日本史の初等教育が生んだ最大の誤解の一つです。竪穴住居がいつからいつまで存続したのかを発掘統計から追跡すると、その生命力は驚くほど長期に及んでいます。

住居の起源は旧石器時代の簡易シェルターや縄文草創期にまで遡りますが、注目すべきはその終焉期です。古墳時代や飛鳥・奈良時代はもちろんのこと、平安時代中期から鎌倉時代に至っても、地方の一般庶民(農民層)の標準的な住居形式は依然として竪穴住居でした。貴族階級が寝殿造に住んでいた華やかな王朝文学の時代にあっても、全国の生産現場を支えていた基層民衆は地面を掘り下げた竪穴に暮らしていたのが考古学的な紛れもない現実です。

さらに寒冷地である東北地方や北海道の擦文(さつもん)文化圏においては、中世から近世、地域によっては明治初期に至るまで、冬期専用の防寒住居として竪穴構造が受け継がれていました。地面の断熱性を味方につける工法は、未発達ゆえの妥協ではなく、日本の過酷な気候風土を生き抜くために選ばれ続けた合理的な居住技術でした。

清水 千尋

清水 千尋

フード&トラベルライター

マーケティングと消費者心理のトレンドを分析し、現代のヒット商品の背景を読み解きます。

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